中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは|ビットコインとの違いと主なメリット
中国をはじめとする各国は、独自の中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の構築競争を繰り広げています。ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)ではなく、独自のデジタル通貨の導入を目指すのはなぜでしょうか。
この記事では、誰が通貨の構築競争をしている17歳のか、競争のメリットは何か、そしてそれがさらなるの普及のために何を意味するのかを見ていきたいと思います。
CBDCとは
中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)とは、その名の通り、日銀のような既存の国家の金融機関が作成・管理する通貨です。今までの通貨との違いを挙げると、紙幣や硬貨というアナログな貨幣の代わりに、すべてデジタルなものに置き換えられています。
国際決済銀行によると「CBDCは厳密に定義された言葉ではない」とされており、それは「何が(CBDCの導入により)変わるかを分析するためには、CBDCが何でないかを明確にすることを定義したほうが簡単だ」といわせるほどです。この論理によると、CBDCは「伝統的な準備口座や決済口座に保有されている貨幣とは異なる形式の、デジタルな中央銀行貨幣」との見方も出来ます。
銀行はなぜCBDCを推進するのか
なぜ、銀行はこれほどまでにCBDCの構築に熱心なのでしょうか? この疑問には対象とする国の通貨がどのような状態にあるかによって、さまざまな理由が考えられます。
価値の平等化
例えばベネズエラでは、米国からの経済制裁などの影響に伴うハイパーインフレや国民の外貨購入制限により、自国経済が機能不全に陥っています。国が管理するデジタル通貨は、自国通貨の価値をより一貫したものにするための一つの方法かもしれません。
送金の高速化
一方で他の国では、国家から国民への資金の分配には、銀行やクレジットカード会社などの中間業者が関与しているため余計に手数料と時間がかかります。銀行によっては多額の通貨の動きを処理するのに何日もかかるところもあることを考えると、この影響はさらに身近に感じられるでしょう。しかし、デジタル通貨であれば、瞬時に送金することができ、効率性が向上します。
COVID-19(新型コロナウイルス)の影響で世界経済が大きな打撃を被るなか、多くの国が特別給付金などの臨時策で、国民に直接現金を渡しています。しかし、デジタル通貨が普及していれば、分配をはるかに迅速に行うことができたでしょう。
経済の把握
そして中央銀行がデジタル通貨の創設に関心を持つ最後の理由は、今の経済が物理的な貨幣を置き去りにして、キャッシュレスなどデジタル化を急速に進めていることです。これが欧米ではPayPal、中国ではWeChatに代表されるような決済サービスの台頭につながっています。
これらの企業だけで、人々は何十億ドルものお金のやり取りを行っています。その結果、政府はそのお金の流れを把握しきれておらず、経済の予測を立てるのに困っています。例えば、政府が総マネーサプライ(経済学でいうM2)を測定できなければ、インフレなどを正確に予測することができず、雇用、個人消費、企業投資、通貨の強さ、貿易収支などに影響を及ぼします。
中央集権的に発行されたデジタル通貨であれば、政府は経済に何が起こっているのかをより明確に知ることができます。
CBDCのリスク
CBDCの不明点の一つに「CBDCが広い経済圏の中でどのような役割を果たすようになるのか」があります。特に金融サービス業についてはどのように共存するのか、共存がまず可能なのか、さまざまな議論2が交わされています。
代表的な例としては銀行があります。国に直接貯蓄を預けることができるようになったなら、同様のサービスを提供していた銀行はどうなるのでしょうか。
そのほかにも、少しすでに触れましたがプライバシーとセキュリティの両立の難しさも争点です。すべての国民が政府を貯蓄を預けられるほどに信頼しているわけはなく、またサイバーセキュリティの問題もあり、完全な移行には相応の反発があるでしょう。
これらのリスクを踏まえ、各国中央銀行は中央銀行の口座に最大預金額を設けるなど、CBDCの規模を制限する策を検討しています。